健診で肝機能異常を指摘されたら何科?AST・ALT・γ-GTPが高いときの受診目安

健康診断の結果に「AST」「ALT」「γ-GT(γ-GTP)」の異常や「要再検査」「要精密検査」と書かれていると、何科を受診すればよいのか、どの程度急ぐべきか迷うことがあります。肝臓の病気は症状が出にくいことがあり、体調がよいから異常がないとは限りません。

一方、検査値が高いことだけで病名や重症度が決まるわけでもありません。この記事では、健診で肝機能異常を指摘されたときの受診先、受診時期、持参物、医療機関で確認する内容を解説します。

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を行うものではありません。健診結果や体調については医療機関を受診し、医師にご相談ください。

まず結論:内科または消化器内科へ相談できます

健診で肝機能異常を指摘されたときは、まず内科または消化器内科が受診先です。普段通院しているかかりつけ医がいる場合は、そこで相談し、必要に応じて消化器内科や肝臓を専門とする医師へつないでもらう方法もあります。

次のような場合は、結果をそのままにせず受診をご検討ください。

  • 健診結果に「要受診」「要精密検査」などの記載がある
  • 前回よりAST、ALT、γ-GTなどが上がっている
  • 複数の肝機能項目に異常がある
  • 脂肪肝、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満を指摘されている
  • 飲酒量が多い、または飲酒量が増えた
  • 服用中の薬やサプリメントがある
  • 肝炎ウイルス検査が陽性だった、または受けたことがない

受診の時期は、健診の判定区分、数値の程度、過去からの変化、症状によって異なります。健診結果に記載された指示を優先し、分からない場合は医療機関へご相談ください。

AST・ALT・γ-GT(γ-GTP)は何を見ている?

ASTとALT

ASTとALTは、細胞の中にある酵素です。肝臓の細胞が傷つくと血液中で高くなることがあります。ALTは肝臓との関係が比較的強く、ASTは肝臓以外に筋肉などの影響でも上がることがあります。

ASTとALTのどちらが高いか、ほかの検査がどうかによって考えられる背景は変わります。数字を一つだけ見て原因を決めることはできません。

γ-GT(γ-GTP)

γ-GTは、飲酒の影響や胆汁の流れに関係する病気、薬の影響などで高くなることがあります。肥満や脂肪肝に伴って上がる場合もあります。「γ-GTPが高いから必ずお酒が原因」とは限らず、飲酒量とほかの検査結果をあわせて確認します。

「肝機能」という名前でも、肝臓の働きそのものだけを表す値ではありません

AST・ALT・γ-GTは、主に肝臓などの細胞が傷んでいないかを知る手がかりです。肝臓がどの程度働けているかや、病気の進み具合をこの3項目だけで判断することはできません。必要に応じて、ほかの血液検査や画像検査を組み合わせます。

ALTが30を超えたらどう考える?

日本肝臓学会の「奈良宣言2023」では、健診などでALTが30を超えた場合、まずかかりつけ医等を受診し、原因を確認して、必要に応じて消化器内科などの専門診療へつなぐことが提案されています。

これは、ALTが30を超えれば特定の病気と診断されるという意味ではありません。また、健診機関や検査施設が示す基準範囲と表記が異なる場合があります。受診のきっかけとなる目安の一つとして、健診判定、ほかの数値、持病などを含めて確認します。

肝機能異常の原因は脂肪肝やお酒だけではありません

肝機能異常の背景には、次のようなものがあります。

  • 代謝の異常を背景とする脂肪性肝疾患(MASLD)
  • 飲酒に関連する肝障害
  • B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎
  • 薬やサプリメントによる影響
  • 胆石など胆道に関係する病気
  • 自己免疫の異常に関係する肝臓病
  • 激しい運動や筋肉の傷みなど、肝臓以外の影響

この一覧は自己診断のためのものではありません。問診、診察、再検査や追加検査によって原因を整理します。

脂肪肝を指摘されている方は、脂肪肝を放置した場合の変化と検査・通院の考え方もあわせてご覧ください。

どのくらい急いで受診する?

症状がなく、健診で初めて指摘された場合

健診結果の判定に沿って、通常の外来で内科・消化器内科へ相談します。数値が軽度に見えても、過去から上がっている場合や、糖尿病・脂質異常症などがある場合は、結果を持参して相談してください。

「要受診」「要精密検査」と記載されている場合

判定を自己判断で「再検査だけ」と読み替えず、案内された期間内に医療機関へ相談してください。受診時期の記載がない、予約日まで待てるか分からない場合は、健診機関または受診予定の医療機関へ確認しましょう。

症状がある場合

白目や皮膚が黄色い、尿が濃い茶色になった、強い吐き気や食欲不振が続く、右上腹部の強い痛みや発熱がある場合は、健診後の通常受診として待たず、早めに医療機関へ相談してください。

意識がもうろうとする、呼びかけへの反応がおかしい、吐血するなど緊急性の高い症状がある場合は119番へ連絡してください。

受診時に持参するもの

  • 健診結果の用紙一式
  • 過去数年分の健診・血液検査の結果
  • お薬手帳
  • 市販薬やサプリメントの名前が分かるもの
  • 1週間程度の飲酒量を整理したメモ
  • ほかの医療機関からの検査結果や紹介状

異常があった項目だけを切り取らず、血糖、脂質、血圧、血小板数なども記載された結果一式を持参すると、背景を確認しやすくなります。

内科・消化器内科では何を確認する?

問診と診察

過去の肝機能、飲酒、体重の変化、食事・運動、持病、薬やサプリメント、家族歴などを確認します。腹痛や吐き気、皮膚の色、むくみなどの症状も伝えてください。

血液検査

健診値が一時的な変化か、異常が続いているかを確認します。医師の判断により、肝機能の関連項目、血小板数、血糖・HbA1c、脂質、肝炎ウイルスなどを調べます。検査内容は一人ひとり異なります。

腹部エコーなどの画像検査

腹部エコーでは、肝臓の脂肪のたまり方、形や表面、胆のうなどを画像で確認します。すべての肝機能異常で同じ日に行うものではなく、診察と血液検査を踏まえて必要性を判断します。

すぎやま内科では、腹部エコーを水曜午前に行っています。検査を希望する方は、受診前に予約方法をご確認ください。より詳しい画像検査や専門的な評価が必要な場合は、対応できる医療機関へご紹介します。

すぎやま内科で相談できること

すぎやま内科では、健診で肝機能異常を指摘された方の相談に、内科・消化器内科で対応しています。泉貞言院長は日本肝臓学会専門医・日本消化器病学会専門医で、肝臓の数値だけでなく、糖尿病・脂質異常症・高血圧などもあわせて確認します。

健診そのものについては各種健診・予防接種、血糖や脂質の異常も指摘された方は糖尿病脂質異常症の診療案内もご覧ください。泉院長の経歴・資格は医師紹介で確認できます。

よくある質問

AST・ALTが少し高いだけでも受診したほうがよいですか?

数値の程度だけでなく、健診の判定、過去からの変化、ほかの検査、持病を含めて判断します。日本肝臓学会はALTが30を超えた場合を、かかりつけ医へ相談する一つのきっかけとして示しています。結果一式を持参してご相談ください。

γ-GTPだけ高いのですが、お酒をやめればよいですか?

飲酒が影響している場合はありますが、γ-GTだけで原因を決めることはできません。飲酒量、薬、ほかの肝機能検査、胆道の病気なども含めて確認します。急に断酒すると体調を崩すほど飲酒量が多い方は、自己判断だけで進めず医療機関へ相談してください。

再検査で正常なら、もう通院は不要ですか?

一時的な変化だった可能性はありますが、原因や今後の確認が必要かは背景によって異なります。脂肪肝、糖尿病、脂質異常症、飲酒などが関係する場合は、定期的な確認を勧められることがあります。

腹部エコーを受ければ原因がすべて分かりますか?

腹部エコーは肝臓や胆のうなどを確認する重要な検査ですが、血液検査や問診でなければ分からない原因もあります。診察結果に応じて検査を組み合わせます。

まとめ

健診でAST・ALT・γ-GTなどの肝機能異常を指摘されたら、まず内科または消化器内科へ相談できます。健診結果一式と過去の結果、お薬手帳、飲酒量のメモを持参すると、原因を整理しやすくなります。

検査値だけで病名や重症度は決まりません。健診の判定、数値の変化、症状、生活習慣病などを含め、必要な血液検査や腹部エコー、専門医療機関への紹介を医師と相談してください。

参考文献

奈良宣言2023(一般の方向け)(日本肝臓学会)

MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)(日本消化器病学会・日本肝臓学会)

特定健康診査の検査項目(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)

肝臓 超音波検査(日本超音波医学会)